小あゆオイル漬けのパッケージデザインを担当しました。
「答えは場所にあり」私の恩師がいつも言われていました。
私も、その教えから、デザインするものが何であっても、場所に答えを探すようにしています。
ここで言う、「場所」は缶詰の与条件になります。
元々使うことが決まっていた「缶」をよく分析します。
そうすると、様々なヒントがそこから見つかります。
まず、あったのは、金色の缶でした。
作ろうとしているものは、安価な缶詰ではありません。
試作は、白や、黒、青など50くらいは作りましたが、
金のカタマリが、すっと馴染んだのです。
缶詰なので実際に中身は見えませんが、中身が見えた方が良いと思い、スリーブに窓を開けて、下にあるシートが覗くようにしました。
中の鮎の写真のシートは、PPを貼ってオイル漬けの光沢感を表現しました。
外側のスリーブを外すと、中には鮎の写真のシートがあり、そこには、爪楊枝が装填されています。
缶詰バーや、ちょい飲み、宅飲みに対応し、外でもパッと食べられるように考えました。
シートも、缶を引き上げる「つまみ」を利用して留めてあります。
あるものを活かす。ということです。
爪楊枝を外した後、シートを取り外します。
缶を開けると、シートにあった小あゆが姿を現します。
小あゆのほのかな苦みが絶妙な美味です。
オイルにも鮎のダシが出て、残り汁もとても美味しいです。
缶の金色は写真右側の青金でしたが、食品にはあまり使わないということで、左の赤金としました。
裏面には、消費期限の窓が必要でしたが、そちらも魚の形にしました。
裏面を見て、違和感がないと思いますが、
背景が金色のバーコードは、世の中の商品で探しまわりましたが見当たりませんでした。
多くの金色のパッケージでも、バーコード箇所だけは白背景になっています。
なんとか、「金のバーコード」を実現したいと思いました。
「もし作ってみて、レジが反応しなければ別のシールを貼りましょう。」実現頂いた木村さんの英断です。
出来て見ると、レジは難なく反応しました。
また、スリーブが台形のために、折畳み納品が出来ないという問題がありました。
1枚の展開した状態で納品し、裏でシール留めの予定でしたが、その手間を何とか減らしたいと思っていました。
ある日、大阪である商品にヒントを見つけました。
台形の横の辺の片側だけ、途中で折り目を付ければ畳めることが分かったのです。
ですので、側面の片側にだけ、折り目がついています。
このように、いかに、気がつかれないような所に、気を使うかなのです。
そんな様々な思いが詰まった缶詰。
やや高価ですが、ぜひ一度ご賞味ください。
client:木村水産株式会社
価格:800円(税別)
販売先:あゆの店きむら 直営店(本店、彦根京橋店、長浜黒壁店、八幡堀店)